「人魚になりたい」——そんな子供の頃の夢、あなたも一度は思い浮かべたことがあるのでは?
私たちのチームは、その“夢”を本気で叶えるために集まった仲間たち。2024年12月、東京アクアティクスセンターで開催された「PADIマーメイドフェス2024」は、日本初のマーメイドコンテストが行われる、特別な舞台でした。
フェスには約100名の参加者が集い、うち男女混合8組のチームが水中での美しさや表現力を競い合うこのコンテスト。ライブ中継された水中パフォーマンスは観客の心を掴み、審査員たちは技術力や表現力を細かくチェックしました。
そんな中、私たちのチームは「2位」という輝かしい結果を手にしました。
しかし、その結果までの道のりは、まさに「挑戦」と「努力」の連続でした。
マーメイドコンテストとは?
「マーメイドコンテスト」とは、ただ綺麗に泳ぐだけではなく、「水中での優雅さ」「水面のコントロール」「表現力」「エンターテイメント」を極限まで高めて、観る人の心を動かす競技です。
2024年の「PADIマーメイドフェス」では、参加者たちがオリジナル演技と規定演技を融合させ、個性あふれるパフォーマンスを披露しました
ライブ映像はモニターに映し出され、観客はその美しい世界観に息をのんで見入っていました。
チーム「école」の始まり
私たちのチーム名は「école(イコラ)」
これは「学校」を意味するフランス語です。
メンバー全員が「人魚の学校」で出会ったこと、そしてその学び舎で共に夢を追いかけたことを大切にしたくて、この名前をつけました。
名付け親は、あわしまマリンパークのマーメイドショーで司会を務めてくださったノア・ライヒさんです。
チームメンバー紹介
画面右から
・Mermaid Harry:リーダー、ポージング、振り付け、全体のディティール調整、衣装作成、声かけ
・Mermaid Rara:フォーメーション編成、バランサー
・Mermaid Oide(妖怪):テーマ決め
・Mermaid Vanessa Diva(私):アイデア出し
私は「千手観音」「太極拳バブル」等アイデアを提案し、おいでさんが「敦煌飛天(中国の天女)」をテーマに設定、Raraさんがチームのバランスを取りながらフォーメーションを編成し、Harryさんが振り付けや細部の調整を担当してみんなで演技を完成させました。
限られた時間の中での挑戦
コンテストの開催が発表されたのは、なんと約1ヶ月前。
時間が足りない、練習する日が限られている——。
しかし、私たちは諦めませんでした。
毎週末に集まって、ひたすら水中での演技を磨き続けました。
「終わったらゲロ吐いていいから頑張ろう」
これは練習中の合言葉でした。
中性浮力を保つためには、息を極限まで吐く必要があり、水面に上がるたびに気持ち悪くなることもありました。
でも、「終わりよければすべてよし」。その一心で、私たちは泳ぎ続けました。
苦しみの先に見えた光
私にとって一番大変だったのは「中性浮力」
ウエイト使用NGという規定があり、どれだけ息を吐いてもすぐに浮いてしまう。
そのせいで、バックフリップの高さがズレてしまうことも。
それでも、仲間たちと励まし合い、何度も何度も繰り返し練習しました。
試行錯誤の末に完成した演技は、おいでさん発案の「敦煌飛天(中国の天女)」をテーマにしたものでした。
特に大技だったのは、以下の2つのパートです。
1. 4人が縦1列になって行う「千手観音」
2. 3人が正三角形→円になり、輪を通りバブルハート&ゴースルー
この2つの大技が今回の目玉でした。
奇跡のテールと天女の衣装
「衣装はチーム全員で揃っていること」
マーメイドコンテストの審査項目には、そんな要件がありました。
でも、私たちは初めからその条件をクリアするのは難しいと思っていました。
同じデザインのテールを全員分揃えるには、時間が足りなかったからです。
「どうしようか…」と頭を抱える私たちに、人魚の学校の先生方が力を貸してくださいました。
先生たちは何度も掛け合ってくださり、なんとギリギリで色違いのお揃いのテールを手に入れることができたのです。
その瞬間、私はとても嬉しかったのを覚えています。
さらに、演技のテーマは「天女」。
美しく、どこか神秘的な雰囲気を表現するためには、衣装にも特別な工夫が必要でした。
その中で大活躍してくれたのが、Harryさんとおいでさんです。
Harryさんはなんと前日にブラ部分にオーガンジーを全員分縫い付けてくれました。
細かな作業で、時間もかかったはずです。
そして、オーガンジーの調達をしてくれたのは、おいでさんです。
彼女がオーガンジーを使う布地を手に入れてきてくれたことで、衣装全体が美しく完成しました。
Harryさんとおいでさんの手で完成した衣装は、水中で柔らかく揺れ、光をまとい、まるで本物の天女のように輝きました。
迎えたコンテスト当日
本番直前、私たちは円陣を組みました。
「一緒に これまでも これからも いこう!まっしぐら!école!」
この掛け声が、私たちの心を奮い立たせてくれました。
緊張はしていたけど、それよりも「今までのすべてを出し切ろう」という想いが強かった。
水中での1分30秒は、まるで時間が止まったかのよう。
私たちはただ、「美しく笑顔で楽しんで泳ぐ」ことに集中していました。
パフォーマンスは一瞬で過ぎ去り、私たちは水面に浮上して、ただ一言。
「一瞬だったね。」
悔いはない。それだけは、はっきりと感じていました。
私たちの演技をご覧ください!
私たちの演技の様子は、こちらの動画でご覧いただけます。
演技の瞬間、私たちの努力がどれだけ形になったのかを感じていただけたら嬉しいです。
このように、チームの皆がそれぞれの役割を果たしながら、私たちの演技は完成しました。
結果発表
「第2位は…école!」
その瞬間、みんなで顔を見合わせ、喜びました。
先生方に支えられた練習の日々。
仲間と共に乗り越えた困難。
「2位になれただけでもすごい。でも、先生たちに1位を渡せなかったのだけが悔しい。」
そんな気持ちを分かち合い、私たちはお互いの健闘を称え合いました。
第3位は「海旅 feat ~ Anfilo, SAKURA WING ~」
優勝したのは「Coral Queens」でした。
マーメイドコンテストを終えて
2位という結果は、もちろん嬉しいけれど、それ以上に私たちは「挑戦したこと」自体に大きな意味があったと感じています。インストラクターの方も多く参戦する中でしたが
「一人じゃ泳げなかった」
「みんなとだから、ここまで来れた」
マーメイドコンテストは、ただの大会ではなく、「人との絆を深める場所」でもありました。
また、何よりも大切だったのは「話し合い」
意見を出し合い、試行錯誤して、アドバイスし合いながらトライアンドエラーを繰り返した日々。
それが、私たちの演技を完成させ、絆を強くしたのだと感じます。
支えてくださった先生方への感謝
私たちがここまで来ることができたのは、人魚の学校の先生であるShellina先生とマリ先生の存在があったからです。
技術的な指導はもちろん、精神的なサポートまでしていただき、私たちはどれだけ救われたかわかりません。
Shellina先生は細かな演技の動きや表情、おそろいテールの発注を、マリ先生は演技中姿勢や全体のバランス、衣装のアレンジ方法など丁寧に教えてくださいました。
どんな小さな質問にも真剣に向き合い、何度も繰り返しアドバイスをしてくださったおかげで、私たちの演技は少しずつ完成に近づいていきました。
本当にありがとうございました。
この恩返しは、次回こそ1位を取ることで果たしたいと思います。
次なる目標へ—écoleの未来
「PADIマーメイドフェス2024」に参加して、私たちは大きな達成感と共に、次への目標を見つけました。
「次こそは1位を目指す」
そのために、私たちはまた一から練習を積み重ねていきます。
もしこの記事を読んで、少しでも「マーメイドになってみたい!」と思ったなら、ぜひ一歩踏み出してみてください。
そこには、「想像以上の世界」が待っています。
あなたも、マーメイドの世界へ
「マーメイドになってみたい」
もし少しでもそう思ったなら、ぜひ一歩踏み出してみてください。
そこには、想像以上の美しい世界が広がっています。
私たち「école」の物語は、まだ始まったばかり。
次回のマーメイドコンテストで、あなたと水中で出会える日を楽しみにしています。
—écoleメンバー Mermaid Vanessa Diva
📸 Photo by Junya Higashi, マリ先生, Shellina先生