夜の海は、ときどき人の姿をしている。
波の隙間からこちらを見つめ、甘く笑い、次の瞬間にはもう消えてしまう。
そんな“不確かな存在”を、そのまま音楽にしたような作品が誕生した。
Vanessa Diva(ヴァネッサ・ディーヴァ)がリリースした最新楽曲『La Sirena』。
汽水域を漂うマーメイドとして活動する彼女が、自身の恋愛経験をもとに描いた、ラテンPOPナンバーだ。
だがこの楽曲は、単なる恋愛ソングではない。
“愛されること”と、“理解されること”の違いを静かに描いた、ひとつの物語である。
“La Sirena”──海の住人が見た、人間の愛
『La Sirena』は、116 BPM・C#mで構成されたラテンPOP。
湿度を帯びたビートと揺らめくメロディが、水面の反射のように感情を揺らしていく。
楽曲全体を包むのは、“水中で歌声が響く感覚”。
音はどこか淡く滲みながら、それでも確かに胸へ届く。
幻想的なのに、生々しい。
Vanessa Divaの歌声は、誰かを誘惑するためだけに存在していない。
そこにあるのは、“外側”ばかりを見られてしまう孤独だ。
「君の存在って不思議だよね」
作中に登場するこの言葉は、一見すると褒め言葉にも聞こえる。
けれど、その奥には“理解できないものとして扱われる痛み”が潜んでいる。
マーメイドだから惹かれたのか。
それとも、“私”を見ていたのか。
『La Sirena』は、その境界を何度も揺れながら進んでいく。
“尾びれを持っていなきゃダメなの?”
本作の核にあるのは、“理想として愛されること”への違和感だ。
Vanessa Diva自身、これまでの恋愛経験の中で、外側のイメージを好かれてしまう感覚を何度も経験してきたという。
幻想的で、特別で、“普通じゃない存在”。
そう見られるほど、本来の自分との距離が広がっていく。
だからこそ、『La Sirena』で描かれるマーメイドは、“人間になりたい”だけの存在ではない。
むしろ彼女は、“普通の自分でも愛してほしかった”のだ。
「尾びれを持っていなきゃダメなの?」
というフレーズは、この楽曲の核心そのものだろう。
それはマーメイドの物語でありながら、現代を生きる誰かの感情でもある。
幻想と現実のあいだを泳ぐアーティスト
Vanessa Divaは、マーメイドスイマーとしての活動だけでなく、音楽・映像・世界観表現を横断しながら独自の表現を続けている。
汽水域のマーメイド。
海にも、淡水にも現れる神出鬼没な存在。
セクシーでかわいく、気まぐれ。
けれどその奥には、どこか触れてはいけない深海のような静けさがある。
『La Sirena』では、その存在感が楽曲そのものへ溶け込んでいる。
これは“マーメイドをテーマにした曲”ではなく、
“マーメイドとして生きる感情”をそのまま閉じ込めた作品なのだ。
泡になっても、歌は消えない
『La Sirena』は、派手に感情を叫ぶ曲ではない。
むしろ、水中でゆっくり沈んでいく光のように、静かに身体へ残っていく。
そして最後に残るのは、喪失ではなく、“自分自身を取り戻す感覚”だ。
「飾らぬままの私という価値は 誰にも奪えない」
その一節が示すように、『La Sirena』は悲劇で終わる物語ではない。
泡になる運命を知りながら、それでも歌う。
それでも愛した。
それでも、“私でいる”ことを選んだ。
Vanessa Divaが描くマーメイドは、幻想ではなく、感情そのものなのかもしれない。
Streaming
『La Sirena』はこちらから視聴できます。
https://sndo.ffm.to/0y168k7
Apple Music / Spotify / YouTube Music ほか各種ストリーミングサービスに対応。



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