AWS Glueは、S3やRedshiftなどにあるデータを見つけ、整形し、分析サービスへ渡すサーバーレスのデータ統合基盤です。料金は「Glueを使ったか」ではなく、ETLジョブやCrawlerが何DPUで何分動いたか、Data Catalogのメタデータをどれだけ保存・参照したかで決まります。処理そのものを止めても、CatalogのメタデータやS3のデータは残る。この分離を知らないと、ジョブを削除した後も請求を見誤ります。
2026年8月25日にAWS公式料金ページを確認したところ、ETLジョブとCrawlerは秒単位で計測され、代表的な価格例は1 DPU時間あたり0.44ドルです。Data Catalogは最初の100万メタデータオブジェクトと100万アクセスが無料、超過するメタデータ保存は10万オブジェクトあたり月1ドルの例です。料金はリージョンで変わるため、米ドルの公式例を比較軸にします。
ETL/CrawlerのDPU×時間×単価、Data Catalogのオブジェクト数・アクセス数、S3の保存・リクエスト・転送を分けます。Glue Data Quality、DataBrew、RedshiftやAthenaを同じ処理で使う場合も、サービスごとに加算します。
AWS Glueの主な課金項目
| 機能 | 課金の単位 | 公式価格例・無料枠 |
|---|---|---|
| ETLジョブ | DPU時間。秒単位で丸め | 1 DPU時間0.44ドルの例 |
| Crawler | 使用DPU×実行時間 | 2 DPUを30分で0.44ドルの例 |
| Data Catalog | メタデータ保存・アクセス | 各100万オブジェクト/アクセスまで無料の例 |
| Iceberg最適化・統計 | DPU時間、1分最低 | 0.44ドル/DPU時間の例 |
| Data Quality | タスクで使うDPUと実行時間 | 最低2 DPU・1分など条件あり |
| DataBrew | セッション、ジョブ分 | 30分セッション1ドルの例 |
Glue Data Catalogは、S3やRedshiftのデータそのものを保存する場所ではありません。テーブル、パーティション、統計などの技術メタデータを管理します。データをS3に置くなら、Amazon S3の保存・リクエスト・転送料金が別です。Redshiftで利用するなら、Amazon Redshift料金の計算資源やSpectrumも加えます。
ETLジョブを計算する
公式の例では、Apache SparkのETLジョブが6 DPUで15分動きます。6×0.25時間×0.44ドル=0.66ドルです。同じジョブを毎日20回、30日実行すると0.66×600=396ドル。処理が成功していても、リトライ、失敗したジョブ、開発用Notebookの放置が増えれば、その分が請求に出ます。パーティションや入力データを絞り、必要な時間だけDPUを確保します。
開発中のInteractive Sessionは5 DPUが初期値の例で、24分なら5×0.4×0.44=0.88ドルです。Notebookを閉じたつもりでもセッションが残る場合があるため、タイムアウト、タグ、利用者ごとの上限を設定します。Glueの料金は安い処理に見えても、毎日24時間のセッションを置くと、バッチの本体より大きくなることがあります。
CrawlerとData Catalogを計算する
Crawlerを2 DPUで30分、月30回動かす場合、1回は2×0.5×0.44=0.44ドル、月13.20ドルです。対象S3のファイル数が増えるとスキャン時間も延び、テーブル・パーティション・バージョンがCatalogに積み上がります。毎回全階層をCrawlerで調べるより、イベントや更新パスを限定し、スキーマが安定したテーブルは手動・CIで更新する方が予測しやすい場合があります。
Catalogのメタデータが100万オブジェクトで、アクセスが月200万回なら、最初の100万アクセスを無料として、超過100万回が1ドルという公式例です。Catalogの保存は100万オブジェクトまで無料ですが、削除済みのテーブルや古いパーティションを残すと、将来の管理と料金の両方に影響します。テーブル数とパーティション数を一緒に「データ量」と呼ばず、別々に棚卸ししてください。
Data Quality・Iceberg・分析サービス
IcebergテーブルのCompactionや統計生成はDPUを使い、1 DPU時間0.44ドル、1分最低の例です。2 DPUで30分なら0.44ドル。小さなファイルを毎回まとめる設定は、読み取り性能を改善しても、更新頻度が高いとコンパクション費用を増やします。更新量・ファイル数・クエリ時間を比較して実行頻度を決めます。
Data QualityをETLへ追加すると、ルール判定の処理時間やDPUが増えます。品質チェックを減らすのではなく、重要な列・取り込み前の検証・異常時の停止条件を決めます。Athenaで分析する場合はスキャン量、Redshiftで使う場合はサーバーレスRPUやCatalogアクセス、S3の保存・転送が別に発生します。Snowflake料金やDatabricks料金と比較するときも、ETLとCatalogをどこに置くかを揃えます。
コストを抑える実務チェック
- ジョブのDPU、実行時間、リトライ回数をCloudWatchやジョブ履歴で記録します。
- 開発用Session、Crawler、Data Qualityタスクに終了時刻・所有者・環境タグを付けます。
- S3のパーティションで入力を限定し、毎回全データを読み込まないようにします。
- Catalogの古いパーティション・テーブル・テーブルバージョンを保持要件に合わせて整理します。
- バッチに遅延が許せるなら、低い料金の実行方式やスケジュールを検討します。
見積もり表には、ジョブ名、DPU、1回の分数、月間回数、入力GB、出力GB、リトライ、利用リージョンを列として置きます。これだけで、月額が増えたときに「データが増えたのか」「失敗が増えたのか」を説明できます。
契約・停止・削除の注意
AWS Glueは基本的に従量課金で、ジョブを止めればジョブ処理の新規費用は止まります。ただし、S3、Data Catalog、Redshift、Athena、KMS、CloudWatchのデータは残ります。Catalogを削除する場合は、下流のクエリや権限がテーブル名に依存していないかを確認し、データ本体を消す場合は復元と監査の期間を先に決めます。Glueジョブを削除しても、Glue Data Catalogのデータベースやテーブルが自動削除されるとは限りません。
データとセキュリティ
GlueのIAMロールにS3全体、Redshift全体の権限を与えず、入力・出力バケットとテーブルを限定します。Catalogの共有はLake Formationの列・行レベル権限、クロスアカウント、KMSキーポリシーを合わせて確認します。ジョブのブックマークや一時ファイルに個人情報が残ることがあるため、ログとS3の一時パスの保持、削除、暗号化を監査対象にします。
よくある質問
Glue Data Catalogだけ使えば無料ですか?
最初の100万オブジェクトと100万アクセスが無料の公式例がありますが、超過分、ジョブ、Crawler、S3、Athenaなどは別です。
Crawlerを毎時実行しても安いですか?
データ量とDPU、対象パスで変わります。更新のないパスを除外し、イベント駆動やスケジュールの頻度を見直します。
ETLのDPUを減らせば必ず安くなりますか?
処理時間が伸びると総DPU時間が変わらない、またはリトライが増える場合があります。性能と費用を実測し、1回の処理を完了できる容量で選びます。
AWS Glueの料金は、ジョブの単価より「どのデータを、何度、どの粒度でカタログ化するか」に左右されます。DPUとCatalogを分けて記録し、保存先のS3や分析サービスまで一つの見積もりに入れると、データ基盤の費用が現実に近づきます。
参照:AWS Glue pricing、AWS Glue公式ガイド(2026年8月25日確認)。価格は公式の米ドル例で、リージョン・DPU・周辺サービスで変動します。

