Azure Container Registry(ACR)は、コンテナーイメージを保存するだけの箱に見えます。しかし実際の料金は、レジストリのSKU、付属ストレージを超えた容量、geoレプリケーション、接続レジストリ、ビルドタスク、データ転送で構成されます。2026年8月25日時点の公式料金表を読み、Basic・Standard・Premiumの違いを整理します。
結論:開発はBasic、運用はStandard、リージョン複製と高スループットはPremium
公式ページでは、ACRにBasic、Standard、Premiumの3つのサービスレベルがあり、付属ストレージはそれぞれ10GB、100GB、500GBです。BasicはWebhook 2、Standardは10、Premiumは500で、geoレプリケーションとconnected registryはPremiumのみが対応します。表示される価格はリージョン・通貨・契約によって変わるため、料金計算ツールで確認します。
| SKU | 付属ストレージ | Webhook | 主な追加機能 |
|---|---|---|---|
| Basic | 10GB | 2 | 開発・小規模の非公開レジストリ |
| Standard | 100GB | 10 | 一般的な本番利用、性能とコストの均衡 |
| Premium | 500GB | 500 | geoレプリケーション、connected registry、高スループット |
ACRのSKU価格は日額表示になり、付属容量を超えるイメージストレージは追加日額が発生します。金額欄が地域選択前にドル記号やプレースホルダーで表示される場合は、数字を推測せず、Japan Eastなど対象リージョンを選んでから見積もります。
容量とイメージ数で月額を計算する
例として、1イメージが1.2GB、タグを含む保持数が80個なら、1.2GB×80=96GBです。Basicの付属10GBを大きく超え、Standardの100GBに近いので、デプロイ失敗時のロールバック用イメージまで残すならStandardでも追加容量が必要になります。さらに開発・ステージング・本番を同じレジストリに置くと、96GB×3=288GBとなり、Premiumの付属500GBに近づきます。
| 構成例 | 計算 | 必要な考え方 | 候補 |
|---|---|---|---|
| 開発20タグ | 1.2GB×20=24GB | 古いタグの保持期限 | BasicまたはStandard |
| 3環境・80タグ | 1.2GB×80×3=288GB | 環境別の権限と削除 | StandardまたはPremium |
| 2リージョン複製 | 288GB×2+複製費 | 転送・複製リージョン | Premium |
イメージの圧縮、不要タグの削除、保持ポリシーで容量を抑えられます。ただし、削除はロールバックを失うため、リリース済みの固定タグと検証中タグを分けて管理してください。
geoレプリケーションと転送費
Premiumのgeoレプリケーションは、複数リージョンから近いレジストリへアクセスしたい場合に使います。レジストリ本体の料金だけでなく、レプリケートされたリージョンごとの料金、データ転送、ビルドタスクを見積もります。AKSへ配信する場合は、AKS料金のノード・ネットワーク費用も別に加算してください。
AWSからAzureへ移す場合は、Amazon ECRの保存と転送、CI/CDの実行基盤を同じ期間で比較します。レジストリ料金だけでクラウド移行の総額を判断しないことが重要です。
契約・解約・セキュリティ
レジストリを削除すると、イメージ、マニフェスト、署名、Webhook、タスク履歴を失います。解約前に別レジストリへ必要なタグをコピーし、Pull元のサービス接続、Managed Identity、秘密情報を更新します。課金停止はリソース削除後に反映されるため、検証用レジストリを放置しないようにします。
ACRはプライベートイメージを扱うため、匿名Pull、管理者ユーザー、過剰なContributor権限を避けます。Microsoft Entra認証、Managed Identity、Private Endpoint、ネットワーク制限、イメージ署名、脆弱性スキャンを組み合わせます。Defender for Cloudや既存のDefender for Cloud料金との役割分担も確認してください。
公式情報
SKUと容量はAzure Container Registry公式価格、機能制限はACR公式SKUガイドを参照しました。料金はリージョン、通貨、契約で変わるため、デプロイ前にAzure料金計算ツールで確定してください。
見積もりを確定する前の確認
料金表の数字をそのまま予算書へ転記する前に、契約期間、税、為替、無料枠、最低購入数、利用地域、支払い方法を確認します。無料試用から有料へ変わる日と自動更新日をカレンダーに登録し、更新前に利用実績を見直してください。利用者やデータ量が増えたときに、どの単位で料金が増えるかを把握しておくと、翌年度の予算が立てやすくなります。
判断に迷う場合は、必要なユーザー数、保存容量、月間処理量、管理者数、連携サービスを一枚の表にまとめます。そこへライセンス、作業、転送、バックアップ、サポートの項目を足し、月額と初期費用を分けて比較します。価格が非公開または見積もり表示の場合は、公式の料金計算ツールや営業見積もりの取得日を記録し、古い数字を根拠に契約しないようにします。導入後の利用実績と請求額を照合する担当者も決めておくと、想定外の増額を早く見つけられます。月次レビューの記録も残します。
運用開始後に見る数字
契約直後は、実際の利用量が見積もりと一致するとは限りません。初月と繁忙月を分けて、割り当て済みユーザー、アクティブユーザー、保存容量、転送量、処理件数、追加機能の利用回数を確認します。使っていないライセンスや、試験用に残ったリソースは、担当者を決めて定期的に見直します。
- 請求書のサービス名と、管理画面の利用量が合っているか。
- 無料枠を超えた項目と、超過単価が予算表に反映されているか。
- 退職・異動した利用者のアクセスとデータ所有者が整理されているか。
- 共有範囲、管理者権限、監査ログの確認者が決まっているか。
費用を下げるときは、いきなり上位機能を削るのではなく、利用されていない座席、不要な保存期間、過剰な同時実行、重複する契約を探します。逆に、料金を抑えるためにログやバックアップを削ると、障害や監査に対応できないことがあります。金額、業務継続、セキュリティの三つを同じ表で比較し、変更前後の差分を残してください。
社内で説明するときは、月額だけでなく、1人あたり・1GBあたり・1,000件あたりの単価に直すと部署間で比べやすくなります。利用者が増えた場合と減った場合の両方を試算し、最も使う部署の業務が止まらない条件を先に決めます。価格改定や機能変更があった場合に、誰が公式情報を確認して予算表を更新するかも明確にしておくと安心です。
費用比較の表には、作成日と参照した公式ページのURLを添えます。見積もりの有効期限が切れたときは、古い単価と新しい単価を混ぜずに計算し直してください。契約担当者と現場責任者が同じ表を確認し、前提条件の違いを残さないことも大切です。変更理由と承認者を記録すれば、翌月の請求確認も簡単になります。更新後の利用者への周知も忘れません。問い合わせ先も明記します。変更履歴も残します。月次記録を保存します。完了報告も残します。

