Amazon ECRは無料に見えやすいサービスです。実際、同じリージョンのEC2・ECS・Fargate・Lambdaなどへイメージを転送する場合、ECR側のデータ転送が無料になるケースがあります。
しかし、保存容量、インターネットへの転送、リージョン間のコピー、脆弱性スキャンは別々に考えなければなりません。AWS公式の料金例では、40GBを保存して同一リージョンで利用する構成は4ドル/月、20GBを保存して50GBを別リージョンへ転送する構成は6.50ドル/月です。無料枠だけで判断すると、リージョン設計の差が請求に現れます。
以下は2026年8月24日にAWS日本向け公式料金ページと公式ドキュメントで確認した内容です。料金はリージョン、アカウント、無料利用枠、転送経路によって変わるため、最終確認にはAWS料金計算ツールを使用してください。
Amazon ECRの料金項目
| 項目 | 料金の考え方 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| プライベート保存 | 無料枠を超えた保存容量に課金 | AWS公式例は0.10ドル/GB/月 |
| パブリック保存 | 50GB/月まで常時無料 | 保存料金はリポジトリ所有者に請求 |
| 同一リージョン転送 | EC2、ECS、Fargate、Lambdaなどへの転送は公式例で0ドル/GB | 転送元と転送先のリージョンをそろえる |
| パブリック転送 | 匿名500GB/月、認証済み5TB/月まで無料 | 無料枠は翌月へ繰り越されない |
| リージョン間転送 | 公式例では0.09ドル/GB | レプリケーションや別リージョンのPullで発生 |
| イメージスキャン | 基本スキャンはECR、拡張スキャンはAmazon Inspectorで課金 | 初回スキャンと再スキャンの回数を確認 |
無料利用枠はプライベートとパブリックで違う
新規のAmazon ECR顧客には、プライベートリポジトリのストレージ500MB/月が1年間提供されます。一方、パブリックリポジトリは新規・既存顧客を問わず50GB/月のストレージが常時無料です。
パブリックリポジトリからインターネットへの転送も、匿名利用では500GB/月、AWSアカウントで認証した利用では5TB/月まで無料と公式ページに記載されています。パブリックリポジトリからAWSのコンピューティングリソースへ転送する帯域幅は、公式説明では無料です。
無料枠は全リージョンで毎月計算され、使わなかった分を翌月へ貯めることはできません。さらに、保存したイメージの所有者とダウンロードした利用者のどちらに転送費が請求されるかは、リポジトリの公開・非公開、認証状態で変わります。
料金の具体的な計算例
40GBを同じリージョンで使う
プライベートリポジトリに40GBを保存し、同じリージョンのECSやFargateから月1TBをPullするケースです。
- 保存:40GB × 0.10ドル = 4ドル/月
- 同一リージョンのAWSサービスへの転送:0ドル
- 合計:4ドル/月
これはAWS公式料金ページに掲載されている例です。実際の料金は保存するリージョンの価格表と無料利用枠を確認してください。
20GB保存とクロスリージョン転送
us-east-1に20GBを保存し、同じリージョンとus-west-1へそれぞれ50GBをPullする公式例では、同一リージョン側の転送は無料で、us-west-1向け50GBに0.09ドル/GBが適用されています。
- 保存:20GB × 0.10ドル = 2ドル/月
- リージョン間転送:50GB × 0.09ドル = 4.50ドル/月
- 合計:6.50ドル/月
イメージを複数リージョンへ複製する設計では、保存容量より転送量が大きくなることがあります。
小規模なパブリック配布
パブリックリポジトリに30GBを保存し、匿名のダウンロードが月400GBなら、AWS公式ページの50GB保存枠と500GB転送枠の範囲内です。この例ではECRの保存・転送料金は0円相当ですが、利用するAWSアカウント、認証方式、無料枠の対象条件を確認してください。
見落としやすい追加費用
脆弱性スキャン
基本スキャンはAmazon ECR側で提供されます。拡張スキャンはAmazon Inspectorと連携し、OSだけでなくプログラミング言語パッケージの脆弱性を継続的に確認できます。ただし、拡張スキャンの費用はAmazon ECRではなくAmazon Inspector側で発生します。
Inspectorの料金は、Push時の初回スキャン数と、月内の再スキャン数などで決まります。新規アカウントには無料トライアルがありますが、トライアル終了後のイメージ数と再スキャン頻度を見積もる必要があります。
ライフサイクルポリシーとアーカイブ
古いイメージを残し続けると保存容量が増えます。ライフサイクルポリシーで期限切れやアーカイブを設定できますが、アーカイブには最低保存期間があります。公式ドキュメントでは、アーカイブ後90日未満に削除しても90日分の最低保存料金が発生すると説明されています。
周辺サービスの料金
ECRの料金には、ECS、EKS、Fargate、EC2、NAT Gateway、ロードバランサーなどの実行環境費用は含まれません。ECRからのPullが無料でも、コンテナを実行する側の料金がなくなるわけではありません。特に別リージョンのECRをNAT経由でPullする構成は、ECR転送費とネットワーク費用を分けて確認します。
構成別の選び方
社内サービスで使う場合
プライベートリポジトリを実行環境と同じリージョンに置き、タグやライフサイクルを管理します。保存イメージ数を抑えると、容量課金と運用負担を同時に下げられます。
外部へ公開配布する場合
パブリックリポジトリの無料枠を利用できますが、匿名アクセスと認証済みアクセスで転送上限が異なります。公開イメージの所有者に保存料金がかかる点も忘れないでください。
複数リージョンで運用する場合
実行環境に近いリージョンへ配置し、必要なイメージだけを複製します。全イメージを常時レプリケーションすると、保存とリージョン間転送が積み上がります。
セキュリティを重視する場合
基本スキャンで足りるのか、Amazon Inspectorによる拡張スキャンが必要なのかを決めます。拡張スキャンを有効にする場合は、イメージのPush頻度と再スキャンの対象期間を料金見積もりに入れます。
よくある質問
Amazon ECRは無料ですか?
無料利用枠がありますが、無制限ではありません。保存容量、インターネット転送、リージョン間転送、スキャン、周辺サービスを分けて確認してください。
同じリージョンのECSやFargateへのPullは無料ですか?
AWS公式料金ページの例では、ECRとEC2・Lambda・App Runner・Fargateなど同一リージョンのサービス間転送は0ドル/GBです。リージョンが異なる場合は別の転送料金が発生します。
拡張スキャンはECRの追加料金ですか?
ECR自体の追加料金ではなく、Amazon Inspectorのスキャン料金が発生します。スキャン方式を切り替える前に、現在のスキャン結果や再スキャン条件も確認してください。
日本の請求では消費税がかかりますか?
AWS公式料金ページでは、表示料金に日本の消費税は含まれず、別途請求されると説明されています。
公式情報と関連記事
最新の料金はAWS公式Amazon ECR料金ページ、基本仕様はAmazon ECR公式ユーザーガイド、拡張スキャンはAmazon Inspector公式料金で確認できます。
Amazon ECRの見積もりで最初に決めるべきなのは、リポジトリの種類とリージョンです。その二つが決まれば、保存・転送・スキャン・実行環境の費用を分けて計算できます。

